警視庁の規則をイラスト付きで解説

警視庁教則

(国家公安委員会告示第三号)

道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第百八条の規定に基づき、交通の方法に関する教則(昭和四十七年国家公安委員会告示第一号)の全部を次のように改正する。

交通の方法に関する教則

歩行者と運転者に共通の心得

車は、私たちの生活から切り離せない身近な文明の利器になつています。しかし、その反面、使い方を誤まると悲惨な交通事故を起こす凶器になつたり、騒音、振動などにより沿道住民に大きな被害を及ぼす原因になつたりします。また、自分勝手な通行の仕方がもとで争いが生じ、人間関係を険悪化させる場面も日常よく見受けられます。

くるま社会においては、歩行者も運転者もそれぞれの責任を自覚して、周りの人に迷惑を掛けず、安全、快適に通行することができるような交通環境をつくりあげるよう努めなければなりません。そのためには、あらかじめ、車と交通について正しい知識を持ち、正しい交通の方法を身に付けておくとともに、実際の交通の場においても、自分本位でなく相手に対する思いやりの気持ちを持つて、判断し、行動することが必要です。

この教則は、歩行者と運転者が、それぞれの責任を自覚して、安全、快適なくるま社会を築いていくための手引きとして作られたものです。繰り返し読んで、正しい交通の方法を理解し、身に付けるとともに、友人や家族、特に子供たちにも折に触れて教えてあげるようにして下さい。

第1節 基本的な心構え

1 交通規則を守ること

道路は、多数の人や車が通行するところです。運転者や歩行者が一人でも自分勝手に通行すると、交通が混乱したり、交通事故が起きたりします。また、自分だけはよくても、ほかの人に迷惑を掛けたりすることがあります。

交通規則は、このようなことから、みんなが道路を安全、円滑に通行する上で守るべき共通の約束事として決められているものです。言い換えれば、交通規則を守ることは、社会人としての基本的な責務なのです。

交通規則の内容は、この教則で述べられていますが、具体的には、信号機や標識などによつて個々に示されていますので、それらの意味をよく理解し、決められた交通規則をお互いに守るようにしましよう。

2 道路を通行するときの心構え

道路を通行するときは、決められた交通規則を守ることはもちろん、それ以外にも、道路や交通の状況に応じて、個々に細かい配慮をしなければなりません。ほかの人々が安全に通行できるように配慮することは、運転者や歩行者としての社会的責任でもあります。道路を通行するときには、次のような心構えを忘れないようにしましよう。

(1) 周りの歩行者や車の動きに注意し、相手の立場について思いやりの気持ちを持つて通行すること。

(2) 自分の通行の利便だけを考えるのではなく、沿道で生活している人々に対して、不愉快な騒音などの迷惑を掛けないように配慮すること。

(3) 万一の場合に備えて、自動車保険に加入したり、応急救護処置(交通事故の現場においてその負傷者を救護するため必要な応急の処置をいいます。)に必要な知識を身に付けたり、救急用具を車に備え付けたりするなど平素から十分な用意をしておくこと。

(4) 交通事故や、故障で困つている人を見たら、連絡や救護に当たるなど、お互いに協力しあうこと。

(5) 自動車の運転者はもちろん、歩行者や自転車に乗る人も、自動車の死角、内輪差など自動車の特性をよく知つておくこと。

(6) 道路に物を投げ捨てたり、勝手に物を置いたり、その他周りの人の通行の妨害や迷惑になるようなことをしないこと。

(平6公安告3・一部改正)

第2節 信号、標識・標示に従うこと

1 信号の意味

(1) 信号機の信号に従つて通行しなければなりません。信号機の信号の種類とその意味は、付表1(1)、(2)のとおりです。

(2) 信号機の信号は、前方の信号を見るようにしましよう。横の信号が赤であつても、前方の信号が青であるとは限りません。例えば、全方向が一時的に赤になる信号や、時差式信号機のように特定方向の信号が赤に変わる時間をずらせているものもあります。

(3) 人の形の記号のある信号は、歩行者と横断歩道を進行する普通自転車(第3章第1節3の普通自転車をいいます。)に対するものですが、その他の自転車もその信号機に「歩行者・自転車専用」と表示されている(付表2(1))場合は、その信号機の信号に従わなければなりません。この場合の信号機の信号の意味は付表1(2)のとおりです。また、「バス専用」などの標示板(付表2(1))のある信号機の信号は、その示されている車(注1)を対象としています。このように車や歩行者に対して信号が特定されているときは、その特定された信号に従わなければなりません。

(4) 道路の左端や信号機に、白地に青の左向きの矢印の標示板(付表2(2))のあるときは、車は、前方の信号が赤や黄であつても、歩行者など周りの交通に注意しながら左折できます。この場合、信号機の信号に従つて横断している歩行者や自転車の通行を妨げてはいけません。

(平20公安告7・一部改正)

2 標識の意味

(1) 標識とは、交通規制などを示す標示板のことをいい、本標識と補助標識があります。本標識には、規制標識、指示標識、警戒標識、案内標識の4種類があります。標識の種類とその意味は付表3(1)のとおりです。

(2) 規制標識は、特定の交通方法を禁止したり、特定の方法に従つて通行するよう指定したりするものです。例えば、自動車の通行を禁止する標識(付表3(1)4)、最高速度を指定する標識(付表3(1)25)などがあります。

(3) 指示標識は、特定の交通方法ができることや道路交通上決められた場所などを指示するものです。例えば、駐車することができることを示す標識(付表3(1)53)、横断歩道や安全地帯の場所を示す標識(付表3(1)57、59)などがあります。

(4) 警戒標識は、道路上の危険や注意すべき状況などを前もつて道路利用者に知らせて注意を促すものです。例えば、前方に踏切があることを示す標識(付表3(1)181)、道路工事中であることを示す標識(付表3(1)193)などがあります。

(5) 案内標識は、地点の名称、方面、距離などを示して、通行の便宜を図ろうとするものです。

(6) 規制標識など本標識の意味を補足するものとして補助標識が用いられることがあります。補助標識は、普通、本標識の下に取り付けられており、規制の理由を示したり、規制が適用される時間、曜日、自動車の種類などを特定しています。なお、車の種類を特定する場合には、付表4のような略称を用いることがあります。

(昭62公安告1・平12公安告17・平20公安告7・一部改正)

3 標示の意味

(1) 標示とは、ペイントや道路び...などによつて路面に示された線、記号や文字のことをいい、規制標示と指示標示の2種類があります。標示の種類とその意味は付表3(2)のとおりです。

(2) 規制標示とは、特定の交通方法を禁止又は指定するもので、例えば、駐車を禁止する標示(付表3(2)5)やバスの専用通行帯を指示する標示(付表3(2)15)などがあります。指示標示とは特定の交通方法ができることや道路交通上決められた場所などを指示するもので、斜め横断ができることを示す標示(付表3(2)26)や車両の停止位置を示す標示(付表3(2)29、30)などがあります。

(平4公安告4・一部改正)

第3節 警察官などの指示に従うこと

 警察官や交通巡視員が手信号や灯火による信号(付表1(3))により交通整理を行つている場合は、この手信号や信号に従わなければなりません。この場合、手信号や灯火による信号が信号機の信号と違つていても、その警察官や交通巡視員の信号の方が優先します。

 警察官や交通巡視員が通行の方法などについて必要な指示をすることがありますが、その場合は、警察官や交通巡視員の指示に従つて行動しなければなりません。警察官が行う指示が標識・標示によつて示された交通の規制と違つていても、指示の方が優先します。

第4節 道路でしてはいけないことなど

(昭60公安告4・改称)

 道路上で次のような危険なことをしてはいけません。

(1) 酒に酔つてふらついたり、立ち話をしたり、座つたり、寝そべつたりなどして交通の妨げとなること。

(2) 交通量の多いところでキャッチボールやローラースケートなどをすること。

(3) 道路に向けて物を投げたり、発射したりすること。

(4) 道路を壊したり、汚水、ごみ、くぎ、ガラス片などをまいたり、捨てたりすること。

(5) 車からたばこの吸い殻、紙くず、空きかんなどを投げ捨てたり、体や物を外に出したりすること。

(6) 走つている車や路面電車に外からつかまること。

(7) 運転者の目をくらませるような光を道路に向けること。

(8) 凍り付くおそれのあるときに水をまくこと。

 道路上に商品などを陳列したり、土砂、材木など交通の妨げになる物を置いたりしてはいけません。

 信号や標識・標示がよく見えないと非常に危険です。信号機の近くに信号と似た色のネオンサインを設けたり、標識の近くに広告看板を設けたり、また、信号機や標識・標示を勝手に操作したり、移したり、壊したりしてはいけません。

 免許を持たない人や酒気を帯びた人に運転を頼んだりしてはいけません。また、運転者に先を急がせたり、運転の邪魔になる行為をしないようにしましよう。

 これから車を運転しようとする人に酒を出したり、勧めたりしてはいけません。

 運転者に、過積載(積載物の重量の制限を超えて物を積むことをいいます。)をして車を運転することを求めたり、過積載となるような物を売り渡したり、引き渡したりしてはいけません。

(平6公安告3・追加)

注1 車………自動車、原動機付自転車、自転車や荷車などの軽車両、トロリーバスをいいます。